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沖 弘康

1959年生まれ
長野県松本市出身
1995年 個展(松本市・信濃ギャラリー)
1995年 個展(南安曇郡穂高町・山光ホール)
2002年 汎美展(春)に初出品
(以降毎年出品)
2003年 日仏現代作家展
(大崎・O美術館・パリ市・ギャルリ・アール・エ・コミュニカシオン)
2003年 汎美会員展(秋)に初出品
(以降毎年出品・2006年を除く)
2007年 汎美・秋季展
2008年 汎美展(春・国立新美術館)
相模原市在住
■mail
momozo@hop.ocn.ne.jp
■HP
http://www12.ocn.ne.jp/~momozo

夢の中の出来事(2)  

ー私はある尖った岩の頂に立っていた。目の下には水底まで暗くどんよりとした世界が広がっていた。私は怖い物見たさにその奈落の底を覗き込んでいた。ああここがあの有名な底無し沼に違いない。水底まで9メートル。私は飛び込まなければならないことに気がついた。どうして私がそんな事をしなければいけないのか。猿を釜茹でにした罰。始めは切羽詰まっていたわけではなかった。まだ心に余裕さえあった。しかし恐怖は私を狙撃手に変貌させた。私は沼の中を泳ぎ回っている黒い影に狙いを定め引き金を引いた。弾は錐揉みして背骨を砕き、脳にめり込み破裂した。影は水中でのたうつとぬるぬるした黒い躯をくねらせながら暗い底に落ちて行った。下には白い腹を見せて幾匹かの影が死んでいた。私はライフル銃を別の爬虫類に向けた。金木犀の花の匂いがした。足はブロック塀の上にあった。咄嗟に睡眠薬を飲み過ぎたと後悔した。父と母の背中が見えた。気が付くと私は土砂の流れの中にいた。ぐるぐると回転していた。玉砂利が川底を動いているのが見えた。私は流されていた。後ろからも流されて来る。決壊した橋の下から、次々と、膨らんだ黒いゴミ袋の中で息を殺したぶよぶよのつちのこもどき。私は固形石鹸をタオルで包みその端を掴むとそいつの頭を叩き潰した。溶けたそいつは排水溝に吸い込まれて行った。私は湯煙の充満する湯舟に浸かりながら崖の下に流れ落ちたそいつを見ていた。そいつは不安そうに行先を思案していた。途方に暮れていた。笑いが込み上げて来た。私は満腹になった。でも、もう駄目だ。飛び掛かって来る。口の中に飛び込んで来る。私はそいつを食べるのだ。噛み砕くのだ。飲み込もうとするのだ。飛蝗の脚が喉に引っ掛かる。私は泡を吹き気絶する。そして死ぬに違いない。飛蝗はかまどうまだ。ゆっくり、ゆっくり、そいつは長い二本の触覚を駆使して私の顔へ、口の中へ、ゆっくり、ゆっくり、苔の生えた石段を登って来るー。

gazou1

ID60

30x20_px60枚
紙、インク
‘08汎美・秋季展(東京都美術館)

gazou2

霜解けの草地にて

30x20_px10枚
紙、インク、水彩
‘09汎美展(国立新美術館)


gazou1

F60号
キャンバス、油彩、蜜蝋 
‘95個展(信濃ギャラリー)

gazou2

無題

100×100cm
綿布、油彩、蜜蝋、松脂 
‘95個展(山光ホール)

gazou3

海の灰

F80号×6枚
キャンバス、油彩 
‘03汎美展(東京都美術館)

gazou4

30×20cm×32枚
厚紙、鉛筆 
‘04汎美展(東京都美術館)

gazou5

作品6

F100号
キャンバス、油彩、木炭、新聞紙 
‘04汎美会員展
(新宿文化センター)

gazou6

CD48

40×60cm×48枚
画用紙、木炭 
‘07汎美展(東京都美術館)

gazou9

夢兆

2011汎美展

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